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コンセプトの記述に関して

 御苗場では一般来場者の多数決による「オーディエンス賞」とゲストレビュアー(編集者・ギャラリスト・写真家など)による「レビュアー賞」がありますが、 ここではレビュアー賞を念頭に置いてポイントを書いておこうと思います。

 また、サイト全体にも言えることですが、ここに書いてある内容は管理人の独断と偏見なので、間違っているかもしれません。 以下の文章を参考にする際は自己責任でご利用ください。

コンセプトの位置づけ

 御苗場では、その作家さんの独自性のあるコンセプトが重視される傾向にあると思います。

 ただ綺麗な写真を集めたものや、仕事で撮影したような写真、ただ市販の良い機材で撮影しただけの写真はあまり評価されません。 特に「良い機材or珍しい機材でかわいい人・かわいい動物を撮影しただけの作品」・「珍しいものが写っているだけの作品」は、御苗場では無視される傾向にあると思います。

 また、「生」「死」「愛」「恋」「私」「家族」「生活」「日常」「非日常」「風景」「自然」「生命」「若さ」「老い」「思い出」「時間」「記録」等のテーマは、 比較的ありがちです。これらのテーマを採用する場合には、さらにもう一段、意味を掘り下げたり、視野を広げたり、意味を絞り込む必要があると思います。 また、展示のさいコンセプトに合致しない作品が混ざっていた場合も、評価が下がるので作品を選択することが極めて重要な作業になってきます。

 その他、コンセプトが比較的ありがちでも、段違いに高いクオリティの作品や、極めて撮影難易度の高い作品は評価される可能性があります。 ただし、ここで言う「クオリティ」や「難易度」は、珍しい場所に行っただけとか、珍しい被写体を撮影したとか、市販のプロ用機材を使いこなしただけでは実現不可能なレベルのことを指します。

 新規性・独創性のあるコンセプトを設定するためには、常に写真展に足を運んだり書籍・雑誌に目を通して、他の作家がどのようなコンセプトでどのような作品を制作しているかを把握しておく必要があります。 個人的に、自戒的な意味も含めて考えると、コンセプトを設定するさいには日本だけでなく海外作家のコンセプトも学んだ方が良いと思います。

 そのほか、決して安くはない出展料を払って参加する御苗場ですが、コンセプトは1つに絞った方が良いと思います。 複数のコンセプトを一回の展示で表現しようとすると、どうしても展示スペース全体の統一感が無くなってしまい、全体の主張が分散してしまうからです。

 以上から、コンセプトについては、古今東西の作家さんのコンセプトを学んで、新規性・独創性のあるものを1つに絞り込んで設定する必要があると思います。

レビュアーとコンセプト

 レビュアーには、主に写真家・雑誌編集者・ギャラリストがゲストとして迎えられます。

 写真家の方は、それぞれ自分の専門に対して評価し、専門外の写真については触れない場合が多いように感じました。 また、雑誌編集者の方は、誌面との相性や雑誌の方向性を基にして評価しているようです。 ギャラリストの方も同様で、各ギャラリーの方向性にあっているかどうかが基準になるようです。 そこで、レビュアーの方が普段雑誌で発信している情報や、書籍、トークショーでの話を収集・分析して、 御苗場に相性の良いコンセプトを設定する作戦もアリだと思います。

 そのほか、レビュアーの方によっては、今後の写真界が良い方向に広がっていくことを望み、 自分の専門性や仕事とは離れて、未来を切り開く写真を探している方もかなりいます。 ですから、もし全く新しいコンセプトや全く新しい作品を発表することができれば、非常に評価が高くなると思います。

 ただ、「新しいコンセプト」「新しい作品」については、本当は有名な誰かが行っているにもかかわらず、ただ単に自分が新しいと思っているだけの場合が多いように感じました。 その場合は単なる独りよがりな作品になったり、価値の低い展示になりがちです。 "新しさ"を狙う場合には、事前に古今東西の写真作品についてよく学ぶ必要があるかと思います。

ジャンルとコンセプト

 個人的には、写真をジャンルに分けることはあまり意味がないと思ってますがあえて書いておこうと思います。

 御苗場では、ジャンル効果はほとんど望めないと思います。 (ここで言うジャンル効果とは、特定のジャンル・分野・被写体の作品が有利に評価されたり、不利に評価される現象の事を指します。) 今後、女性ポートレートやコスプレ写真等が増えてくるかもしれませんが、おそらく、女性やコスプレを綺麗に撮影しただけで、コンセプトが疎かになっている展示は評価されないと思います。 他のジャンルも同様で、各分野は比較的同等に扱われ、特に有利になったり不利になったりする事はあまり無いと思います。

 どのような分野であっても、しっかりとしたコンセプトとそれに合致した作品を用意する必要があります。 逆に言えば、どのようなジャンルであっても、不利にならないのが、御苗場の良いところだと思います。